FoLoLab vol.5
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セミナーを受けて11 たこ満では、京セラの稲盛和夫氏が創り出した独自の経営管理法アメーバ経営を取り入れている。これは組織をアメーバと呼ぶ小集団に分け、各アメーバにリーダーを添える。リーダーはそれぞれが中心となって自らのアメーバの計画を立て、メンバー全員が知恵を絞り、努力することで、アメーバの目標を達成させる。それにより社員全員が主役となり、自主的に経営に参加する全員参加経営を実現する。 また社員全員に経営者と同じ視点で働いてもらうために、会社の状況についても社員に開示し、社員全員に進■表という経営計画書を書かせている。もちろん経常利益まで全社員に開示されているので、利益が上がれば、その利益の用途を全員で考え、全員で分配することもある。それでも残った利益については内部留保し、いざとゆう時のためにとっておく。 一方、売上が悪ければ通常、経営者や管理職以上の社員のみが抱える、経営に関する日々の不安や危機感をも全社員で共有、共感することとなる。 このような取り組みにより、社員一人ひとりが売上に対しても強い責任感と高いモチベーションを持ち続けられている。 たこ満では毎年4月に新卒者対象に入社式を行う。入社式翌日から2泊3日の合宿研修が行われ、その中に社長研修がある。 社長研修では必ず「あなたの夢は何ですか?」という質問をする。ただし最初から1人ずつに夢をたずねても出てこないので、最初は2人1組でお互いの夢について語り合ってもらう。その後、一人ひとりが全員の前で自らの夢を語る。この夢の共有により新入社員と社長との距離が一気に縮まる。 「経営者の仕事は、社員一人ひとりの幸せを作ってあげること」。経営理念にも通ずる平松氏のこの言葉はセミナーの中で何度も語られた。 長く「お客様第一主義」が経営理念の主流となっていたように思われるが、最近では働き方改革や人材不足の影響からか「社員第一主義」を掲げる企業が多く見られる。今回、平松氏のセミナーを受け分かったことがある。それは、「社員第一だからお客様は第二」という考え方では決してなく、「社員を一番大切にするからこそ、お客様に対して最高のサービスが出来る」、結果的には「お客様も社員も第一主義」ということだ。そして、その中にこそ多くの企業が抱える人材育成問題へのヒントが隠されているように感じた。 講演していただいた平松季哲氏は創業者ではなく二代目。その二代目で会社は大きく成長している。それには平松氏が失敗から学び創り上げたアメーバ組織の存在と、従業員の幸せを追求する経営者の想いがあるからではないだろうか。 100年ビジョンを掲げる株式会社たこ満は今年が44期目。今後、経営理念がどのように継承され、会社がどのように更なる成長を遂げるのか、これからも学ばせていただきたい。 新入社員は入社後、2ヶ月の研修期間経て、最後に研修の成果発表を行う。この成果発表で100点満点中80点以上を取らないと正社員として採用されない。研修期間中はパーソナルコーチを付け、毎日コーチと交換日記を行う。新入社員は日々の成果を報告し、先輩社員はそれに対しアドバイスを行う。その交換日記は2ヶ月で大学ノート5〜6冊になるという。 2ヵ月後の成果発表は朝から行われるが、午前中に合格する者はほとんどいない。50点、60点、70点と何度も何度も挑み、はじかれ、その度に考え、改善し、自らの想い全てをぶつけることが出来た時、初めて合格ラインに達することができる。その瞬間、ほとんどの新入社員が自らを導いてくれたパーソナルコーチと抱き合い、泣いて喜ぶという。 たこ満では社員間のコミュニケーションを促進させるための様々な仕掛けがある。その一つがありがとうカードだ。これは、社内外の人に感謝を伝えるカードで、相手の良い点に気付いたら、その相手に「〜をありがとう」と書いたカードを渡す。そのカードは複写式になっており、貰った側と渡した側が共にノートに貼っていく。カードを貰った側はもちろん嬉しいのだが、カードを最も多く書いた社員が表彰されるシステムになっている。多い人だと年間2500枚ものカードを書く人もいるという。 その他にも、社員がトピックスを毎日発信し、現在では1万号を超えたデイリーニュースや、毎月の給料袋に入っている社長通信、お誕生日カードなど300人を超えるスタッフ全員が情報を共有でき、間接的にでもコミュニケーションが図れる仕組みが出来ている。 これにより社員のモチベーションも上がり、結果的には顧客満足度の向上に繋がるという良い循環システムが完成されている。REPORT〜丸菱 食品機械と原材料総合展2019〜POINT 1POINT 2POINT 3POINT 4アメーバ経営新入社員合宿研修2ヶ月の研修期間社内コミュニケーション社員教育
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