FoLoLab vol.8
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佐賀市にある創業45年の老舗寿司屋「嬉乃すし」。「笑顔、元気、感謝」を理念に掲げ、食をつなぎ、人をつなぎ、世をつなぐことを使命として日々取り組んでいる。「嬉しいが集まる場所」との想いが込められた店名そのままに、地元佐賀・九州を中心に、全国各地の旬で美味しい極上の食材を使用したお料理をリーズナブルな価格で提供。女将を中心としたスタッフの人柄と接客に魅了された人たちが全国から来店するなど、佐賀を代表するお店として知られている。昨年からは「プロトン凍結機」を導入し、未来を見据えた新たなチャレンジに着手。リーディングカンパニーとして業界を牽引し続けるその想いに迫った。古きを守るためには、新しいものも入れていかないと守れない。 嬉乃すしは私の父が開業し、創業シェフをしていたのですが、スタッフを寿司屋に連れて行った際、お寿司の金額が書いてなくて(当時は「時価」と表記されていた)、一般庶民はドキドキしながら金額もわからずに食べなければいけないことに疑問を持ったそうです。結局、自分の給料が一日でなくなってしまったと言っていました。そこで、みんなが安心して食べられる寿司屋をやるんだ!と決意したのが開業のきっかけでした。とは言っても、寿司屋をオープンしたもののお金はありません。借りられたのは50万円くらい。ほぼ失業手当で生活をしていました。でもお店で残った食材があるので、なんとか食べることができていました。当時住んでいたのは6畳1間の市営住宅。お金はありませんが、周りの人たちが良い人ばかりだったので私はお姫様気分で過ごしていました。当時を振り返ると、貧しい中でも、温かく、強く、一生懸命に開業へ向けて頑張っていたように思いますね。創業の経緯を教えてください。3加藤 久美子(かとう くみこ)佐賀県生まれ、61歳。幼少の頃から母親が営んでいたラーメン屋を手伝う中で、お客様からお金をいただく者としての責任感や、商売をする上で大切な心構え、人とのご縁の大切さなどを自然と学ぶ。高校一年のとき、フレンチのシェフだった父親が寿司屋に転向することを決意し、「嬉乃すし」を開業。突然のことで驚きつつも、学校帰りに別の寿司屋に「バイト料はいらないから」と懇願し、自身も寿司屋のイロハを学びながら、長年嬉乃すしを支え続ける。今では名物女将として各界著名人との親交も深く、たびたびメディアにも登場。その人柄と行動力が愛され、全国から女将のファンが来店するほど。経営者の相談に乗ることも多く、スタッフの心を育むことに重点を置いた研修や日本文化の視点を取り入れたコンサルティングが好評を博している。-Kumiko Kato-45年になります。父は元々フレンチの今月のオーナーインタビュー嬉乃すし女将加藤 久美子 氏

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