FoLoLab vol.8
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相当きつかったと思います。父はフレンチ専門でしたのでお寿司を握ったことがなく、寿司屋で一から学んでいました。当然、最初はあまり上手くなかったと思うのですが、真心を持って、食材の恵みをどう活かすべきかを想像し、どうお客様にお出ししたら美味しくなるのかを考えながら、熱心に取り組んでいました。父の良いところはとにかく素直なところ。お客様から指摘されても怒るのではなく、教えていただいてありがとうございます!と、お客様からも教えてもらっていました。売上については、バブル後に一旦売上が下がりましたが、その後は、主人が父から襷を受け継ぎ、主人の職人気質な真面目さで、地道にではありますが、さらに売上を伸ばし    4ていきました。売上が一気に上がればその反動で歪みがきてしまうこともあるので、うちは細く長く、100年企業を目指した経営を目指しています。創業時は現在と違う場所で、キャパ8席のお店からはじめました。10年後に場所を移し15年間続け、そこでも手狭になってきたので、20年前に現在の場所に移転し130席になりました。元々この場所には私たちが住んでいた借家があって、私は借金してここにお店を建てたいと考えていました。そこで、大家さんに「お父さんに親孝行をしたいから、この土地を売ってください」と何度もお願いするうちに最後は根負けしてくれて売ってくれることになりました。もちろんいっぱいあります。というか毎日です。(笑)ただそれを、しかめっ面でやっていたって話になりません。私たちは常に笑顔でいようと従業員一同、日々心がけています。ただ、どうしてもきついときには、最後は私がすべて責任を取るので、何かあったら気兼ねなく言っておいでと伝えています。実は私自身、苦しいという感覚をあまり感じたことがなく、ストレスをストレスと感じない鈍感なタイプ。お金に関しても大変なときはいっぱいありましたし、どん底も経験しました。ですが、まだ生きていて動ける身体がありますし、以前は失業手当で生活していたので、その頃と何も変わらないと思えば何てことありませんでした。「人」ですね。うちはみんな楽しそうに働いていますし、周りから見てもそう感じていただけると思います。やはり大人として、子どもが見たときに楽しそうにキラキラしている姿を見せていきたいし、「早く大人になりたい」と思ってもらいたいですからね。あとは、スタッフみんなが挑戦し続けているところも魅力です。従業員一人ひとりが、何かしら人を喜ばせることを考え続け、真剣に追求しています。私が何か提案したときに、その場ではあまり反応を示さなくても、その後みんなすごく調べて開業してからの状況は?お店のキャパはずっと同じなのですか?これまで苦しい状況はありましたか?嬉乃すしの魅力は?「はたらく」とは「傍(はた)を楽にさせる」という意味がある。寿司屋の醍醐味、カウンター席(11席)。

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