FoLoLab Vol.9
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西海岸サンタモニカの人気レストラン「ザ・ロブスター」。今回アメリカ滞在6日間でアトランタ、ダラス、ロサンゼルスの3都市で28軒の外食チェーンを訪問した。視察の中で自分の中の固定概念を最も覆されたのが、外食産業において経営者の考え=経営理念を、従業員全員が共有できていると感じさせられたことだった。恥ずかしい話、私の中のアメリカのイメージはメジャーリーグやNBAをはじめとするプロスポーツの豪快なイメージ、緻密な戦略など用いず備え持つフィジカルの強さを全面に押し出すそんなイメージを、外食産業の経営にもそのまま用いていた。しかし実際は、今回取材したマネージャークラス全員が、視察の中で行った質問に対して、一貫性のある明確な回答を行う姿をみて、経営理念の理解が徹底出来ていると感じた。そのマネージャークラスの理解度を末端のスタッフにまで浸透させる教育システムもオンラインマネージメントと、マルチレベルマネージメントを上手に使い分け効率良く研修できている、そんなシステムが構築されているのだと感じさせられた。もちろんアメリカの全ての外食産業において経営上の様々なシステム構築が高レベルでなされているとは思わないが、バイトテロなどという問題がニュースになる日本のそれよりは数段レベルが高いことは想像に難くなかった。経営理念の浸透10「チックフィルエー」のデリバリーカーアメリカ南部を中心に約80店舗展開しているステーキハウス「ソルトグラス」。1店舗平均の年商は約5億円。アメリカで約530店舗展開しているステーキハウス「テキサスロードハウス」。1店舗平均の年商は約5億6千万円。店内では味付きピーナッツが食べ放題、しかも殻はフロアに捨て放題で床は全面殻まみれ。アメリカで約650店舗展開しているファミリーダイニング「クラッカーバレル」。店舗内では雑貨販売スペースも充実。1店舗平均の年商は約5億円。全米レストラン協会が発表している米国外食産業の市場規模は70兆円強、一人当たりの年間外食費は30万円強となる。一方日本人の年間外食費は約20万円。外食産業においては、歴史と市場規模からしてもアメリカと日本では大きな差があるといえる。今回はそんなアメリカ外食産業の“いま”を現地で調査してきた。 アメリカ外食産業のいま

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