FoLoLab Vol.9
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でどう広がるのかわかりませんが、これを立ち上げておくことで、これからの可能性が広がると思っています。売上も好調でイケイケドンドンみたいな部分はありましたが、店舗が増えて行くにしたがって個人店の延長みたいなやり方では通用しなくなってきました。ちょうど3店舗目を出した頃に、ちゃんと経営者としてやっていかなければならないと感じ、そこから人を育てることを本格的に考え始めました。お客様どうこうと言う前に、会社の姿勢がどうあるべきか、従業員がどうあるべきかが重要だと気付きました。そのときに目線を変えることができたことが大きなターニングポイントになりました。その頃から始めたのが「朝礼」。「職場の教養」を読み、挨拶や発声の練習、連絡事項、経営理念の唱和、それからみんなそれぞれ挨拶して「今日も頑張るぞ!」みたいな雰囲気で始まる。これを始めたことで組織としてのまとまりが大きく変化してきました。経営理念は今まで何度も作り直し ました。自分の想いをいっぱい書いて作ったのですがスタッフには全く浸透しませんでした。私の独りよがりだったのだと思います。そこで次は、みんなが一言で覚えやすいものにしようと「食で心を豊かに」に決定しました。この言葉の中には多くの意味が込められているのですが、それを日々、朝礼や日常の業務などを通じて深掘りしていくようにしています。他にも社内報を毎月発行して、給与明細に入れて渡しています。これも経営理念の深掘りをするためです。社内報での伝え方は様々で、漫画にして表現したり、各店舗で毎日書いている日報の中から抜粋して、良いスタッフの特集を組むなど、毎月いろんな企画を考えています。まずは安全・清潔であること。あと、美味しい料理、快適な空間、心地良い接客という基本的な部分は絶対に必要です。そして何より、お客様がお店に来られる目的は、家族や友人、職場など一緒に来る人とコミュニケーションをとるためなので、そういう環境を作ることを最も大切にしています。今まではスタッフとお客様のコミュニケーションが強いというのが良い居酒屋の定義のように言われていましたが、居酒屋に来る人にとって大事なのは自分たちの時間です。だからスタッフがあまり関わってはいけないし、これからはもっとそういう時代になってくると思います。例えばうちでもタブレットを導入していますが、最初は導入に関してお客様とのコミュニケーションがなくなるのではと心配していましたが、お店はあくまでもお客様同士のコミュニケーションの場であって、お店とお客様とのコミュニケーションの場ではありません。一流ホテルに行くと、必ず当たり障りはない距離感で、きちんと挨拶してご案内していただけますし、余分にお客様のエリアには入って来ませんよね。それは飲食店も同じです。お客様に深入りすることが良いサービスとは言えません。あくまでも「邪魔にならない程度に心地良く」が大切だと思います。店舗デザインなどは女性目線を大切にしています。たとえば全店舗、冬は床暖房ですし、入口にはファンヒーターを置いています。経営者はだいたい男性が多いので、掘りごたつが寒くて足を下せないお店が実は多いんです。暖房はつけてあるけど頭は暑くて、足元は寒い。女性にとってはすごく寒くて辛いものなんです。とても勢いがありますね経営理念についての想いを聞かせてください飲食店として大切にしていることは?店舗デザインのこだわりなどありますか?5 夜の食堂、和風旬彩「山本食堂」。経営理念と行動指針。漫画家志望だったスタッフに漫画を描いてもらうなど、読み応えのある社内報。
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