FoLoLab Vol.9
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取材を終えて9講師はロシア人のフィリップ氏。毎週金曜に30分間実施。インバウンド客が増えているため、外国人に対する気後れをなくす目的でスタートした。始めてみると、フィリップ氏の外国人特有のテンションの高さからか、スタッフのテンションも上がり、サービスの質が向上する思わぬ効果も。青柳にくれば英語も習えます!入社1〜2年目の厨房スタッフを対象に毎週日曜の午後に開催。なかなか若い料理人が育たず離職者も多かった。職人の世界は「見て盗む」が当たり前、しかしこれでは技術が上がらないと考え実施。料理技術を可視化するため、ランクを3つ作った。お店としても出し巻き玉子の基準があれば、全てのお客様に対して同じものが提供できるメリットがある。また先輩も教えないといけないというプレッシャーが技術向上につながる。この取り組みが「8つの取り組み」の中でも最も離職者を減らすものになっているという。半期ごとに委員会活動内容を表彰する。理念賞と方針賞がありそれぞれに部門がある。各部門で1人2票の投票権を持ち、1票は自分に入れることも可能。得票数が一番多いスタッフが表彰される。 取材の最後に倉橋社長に伺った。8つの取り組みを実行する中で苦労は無かったのかと。少し間があった後に、倉橋社長からは変わらぬ笑顔で返答がきた。「苦労したことはありませんでした。ただ不安だらけでした。約5年前に取り組みをはじめて2年以上は何度も辞めようかと考えました。委員会や朝礼をやるといっても人が集まらないと寂しかった。勉強のためにと皆に渡した本が捨てられていた時もあった。実際ベテランスタッフでついていけないからと4、5人離職し、お店を回すのが大変な時期もあった。それでもやり通さなければ何も変わらないし、これをやり続ければきっと会社が良くなるという信念があった。だからトップダウンで幹部には強く促した。幹部が変わらないと後輩は絶対変わらない。だから幹部は相当泣かせました。ただその中で幹部が誰も辞めなかったのが唯一の救いでした。料理長も最初は理解してくれず反発もあったが、今では自ら人材育成のセミナーに参加し郷土料理 青柳熊本県熊本市中央区下通1-2-10TEL:096-353-0311「理念と経営」という月刊誌を皆に読んでもらい、その記事の中から毎月1つ社長がテーマを出す。社員は委員会とは別のグループに分かれ、そのテーマにつき話し合う。この会は、毎月1回、14時〜15時の就業時間内で開催されるが、その際予算1,000円でお茶、お菓子を買って食べながらリラックスした雰囲気で話し合う。各チームがまとめた意見から、短期でやれること、長期的にやることを精査して取り組む。現場の意見を吸い上げて、改善するという理想的な形であり、やらされ感がでない。この「共に学ぶ会」には外部からの参加もOK。いろんな意見が聞けるからお店のスキルアップにも繋がるとのこと。経営理念が「喜びの共有」。ただお客様を喜ばせようとしても、自分達が喜び方を知らないと喜ばすことが出来ないという考え方から実施。予算500円で誕生日のスタッフを喜ばすという単純な取り組みにも思えるが、みな誕生日の日は構えているため、その予想を超えるよう事前に対象者の好きなものなど各自リサーチし、予想を上回るサプライズを実践する。サプライズ誕生会は社員だけではなくパート、アルバイト、派遣のスタッフにも行うため、何も知らない派遣スタッフは感動で泣いて喜ばれる方もいるという。ちなみにお客様にもサプライズ誕生会を予算2,000円で行っている。オリジナルふりかけの「もったいなかつお」REPORT〜「人を幸せにする経営大賞2019」受賞 青柳の取り組み〜難易度A難易度B難易度Cかつら剥き(高さ50センチの椅子にのって下までつけば合格)出し巻き玉子(卵6個で5回まいて完成の縦、横、高さが基準内であれば合格)河豚(河豚調理の資格を取得し、てっさを引き技術を備えたら合格)❶ 飲食サービス業従事者の社会的地位向上❷ SDGsへの積極的な取り組み❸ 100年企業を目指す(今年で70年)たいと申告してくれる程、変わってくれました。今回この『人を幸せにする経営大賞』を頂いたのですが、会社として表彰されたのは今回が初めてで、本当に『8つの取り組み』をやり続けて良かったと実感しています。」そういうと倉橋社長は笑顔のまま話を終えた。 青柳では研修制度として毎月1回、誰かが日創研の研修を受けているという。理由は自店だけにいたのでは井の中の蛙になってしまう、外に出て多くの情報を得て戻ってきてくれれば、それがまたお店の財産になるからだと。またSDGsの取り組みにも積極的に参加し、フードロスの観点から余っただし鰹節でオリジナルのふりかけを作り、宴会開始20分間、食事に専念してくれた宴会客にプレゼントしている。 少子高齢化、AI化が進み今後益々逆風にさらされるであろう外食産業にあって「青柳」は、飲食店として「社会から必要とされる企業」を目指しているように感じた。成 果❶ 若手がすぐやめる→4年間離職者ゼロに!❷ 年間休日54日→86日❸ 週1休み→4勤1休(今は4勤1.5休)、月1回の連休、薮入り休暇(年末年始・お盆は店を閉めるようになった)❹ 自部門最適→全体最適(皆で協力して良くしていこという一体感)❺ 取り組みが続かない→部門間を越えたグループでの朝礼、勉強会の継続❻ 定着率がよくない→勤続10年以上のスタッフ14名(全体の35%)今後の展開❹英会話スクール❻クッキングスクール❽感動!表彰式❺共に学ぶ会(理念と経営)❼サプライズ誕生会
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