『坂口恭平日記』熊本市現代美術館 2023年2月11日(土・祝)〜 4月16日(日)

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2023年2月11日から4月16日まで熊本市現代美術館にて展覧会『坂口恭平日記』が開催されています。

 

 

こんにちは。おもちです。
「坂口恭平のパステル画をさがしています!」という投稿をTwitterで見た一年前。2023年に熊本市現代美術館で開催される展覧会「坂口恭平日記」で坂口さんのパステル画を一堂に集めたい、という美術館からのお願いでした。呼応するように坂口さん自身も全国に散らばったパステル画をお持ちのかたに呼びかける。自分が持っている坂口さんの作品が、里帰りした熊本の美術館で展示されるって所蔵者さんからすればすごい経験ですしこのような展示は面白い。どんな展覧会になるんだろうと一年前から楽しみにしていました。

 

700点のパステル画

坂口恭平さんは熊本市出身、そして熊本市在住。建築、音楽、絵画、執筆、畑を耕しての作物づくり(そして料理も)あらゆるものを“つくる”表現者です。2020年の5月からは毎日のようにパステル画を描き続けています。パステル画に描かれているのは彼が訪れた場所であり、彼が見た風景、熊本に住む人であれば「これあの道だ」とか「職場の近所だ」とか思うはず(私もありました)。本展では坂口さんがこれまでに描いてきたパステル画、約950点のうち700点が展示されます。

 

坂口恭平 《赤瀬の坂道 #1》 2020 作家蔵

 

坂口恭平 《三角西港》 2020 個人蔵

 

全国の約200人が所蔵するパステルも展示

坂口さんはパステル画を描いたあと、それを撮影しTwitterに投稿し続けてきました。その後、パステル画はギャラリーや坂口さんのオンライン販売サイト、Museum(坂口恭平美術館:熊本市中央区練兵町45 早野ビル 206)で販売され、多くの個人が購入し手にしています。制作 → SNS → 展示 → 販売といった展開は坂口さんのパステル画の流通・受容の特徴の一つです。そして本展では、全国の約200人の所蔵者が手にしている坂口さんのパステルが展示されています。

 

坂口恭平 《餌を待つノラジョーンズ》2020 個人蔵

 

坂口恭平 《湯島の漁師》2022 Yuki. K 蔵

 

会場内には坂口さんのアトリエが

坂口恭平 《アトリエの書斎》 2021 個人蔵

 

会場内のアトリエ。手前のギターも坂口さんが作ったもの。

 

パステル。これで絵を描くんですね。

 

ニットももちろん自分で編む。

 

坂口さんは現在のアトリエを構える前、美術館のキッズファクトリー(子供用アトリエ)を「アトリエ」と称して制作していたとのこと。パステル画は、日々美術館に通って様々な制作をするなかではじまりました。本展では坂口さんの一時的なアトリエが設けられます。服、イス、ギター、坂口さんが作ったものや道具、お気に入りの作品、読んできた本・画集などが並びます。ときにはこの美術館内のアトリエで、坂口さん自身が何か制作している時に遭遇することがあるかもしれません。

 

作品は、ほぼ時系列で展示されています。時と共にモチーフや表現の変化にも注目です。入ってすぐ右奥に見えるのは坂口さん自身のベストセレクションエリア。

 

一列に並んでいたり、大きなかたまりになっていたり、坂口さんの創作のリズムや流れを表しているという展示の仕方にも注目して観てみてください。

 

坂口さん自身による作品解説というかまさに「日記」を語るという感じ。めちゃくちゃ面白くて聴き入ってしまった。

 

 

 

『坂口恭平日記』は日々続いていく坂口さんの日常を現在進行形で見ているようです。ひとりの人が歩む毎日が作品を作ることで表されると、つくる=生きることの圧倒的な物量に驚くけど、私自身の毎日も変化しながら同じように続いているんだなと自分の「日記」を思わせられます。そして作品を所蔵している方々は、坂口さんの日記に参加している、つながっている、そんな特別な感覚を味わうのではないでしょうか。

 

坂口さんの監修で張りかえたソファー。作品を観てゆっくり座ってみてください。

 

展示を見に行ったら必ず手に入れてほしいのが美術館の広報誌「ART KISS LETTER Vol.107」。イラストレーター米村知倫さんの書いた超カワイイ『坂口恭平 生活地図』が掲載されています。毎日通っている(かもしれない)カレー屋さんや、坂口さんの行動が丸わかりすぎるのも面白いし、特に県外からの方には熊本を旅する際の参考にしたい観光MAPのようになっています。

 

『坂口恭平日記』
会期:2023年2月11日(土・祝)〜4月16日(日)

休館日:火曜日、3月22日(水)ただし3月21日(火・祝)は開館
時間:10:00〜20:00(入場は19:30まで)
会場:熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ
観覧料:一般1,100(900)円、シニア65歳以上900(700)円、学生〔高校生以上〕600(500)円、中学生以下 無料

https://www.camk.jp

 

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