手間を惜しまない職人の技。海の幸の旨味を生かす、玉名製造本舗『佃の匠』の佃煮ができるまで。

2024.05.24

熊本

熊本のまち

玉名市の中央を緩やかに流れる菊池川、その流れ着く先には有明海が広がっています。海のすぐそばでひとつひとつ丁寧な手仕事で佃煮を作り続ける専門店『製造本舗佃の匠（つくだのたくみ）』さん。その製造工程を取材させてもらいました。

1 数十年来の常連さんが買い求める佃煮は、丁寧で真摯な手仕事から生み出される。
2 甘い香りと艶のある照りがコクのある味が浮かび食欲をそそる、無添加あさりの佃煮。
3 効率を求めすぎない、手間暇を惜しまない気持ちを込めた商品づくり。
4 味を一定に保つため見た目や火加減は自分の感覚を信じる。
5 商品は店舗・工場と取扱店、通信販売で購入できます。
6 企業・店舗情報

数十年来の常連さんが買い求める佃煮は、丁寧で真摯な手仕事から生み出される。

有明海は新鮮な魚介類や海産物が豊富にとれることで有名です。そんな海の幸の旨味を存分に生かしながら、「佃の匠」さんが大切にするのは現状に満足することなく、ひたむきに、手間を惜しまず真摯な姿勢で佃煮づくりに向き合うこと。

「佃煮はここでなければ」と買い求める方が全国にいらっしゃる絶品の佃煮は、20年以上のお付き合いになる県外の老舗おにぎり屋さんなど、専門店や舌の超えた方々が間違いないと選ぶ商品です。揺るぎのない凛とした姿は、その信頼に応えんとする自信と緊張感に満ちていました。

甘い香りと艶のある照りがコクのある味が浮かび食欲をそそる、無添加あさりの佃煮。

まずはあさりの佃煮の製造工程です。煮込む前の「活あさり」はむき身でおよそ20kg、透明感があってとてもきれいです。

醤油、砂糖、水あめなどの調味料が入った釜に入れていきます。

吹き上がる泡を抑えるように優しくたたく「浮かしだき製法」。貝が持っている元々の旨味を水分と共に閉じ込めていきます。湯気と共に良い香りが漂ってきてずっと見ていたくなります。

釜の前で煮込みを見定めることおよそ60分間、完成に近づいています。すでに美味しそうです！

甘さが美しい照りとなって、キラキラ輝きます。出来立てのホヤホヤを味見させていただきましたが、甘さと醤油のコクがあさりの旨味を引き出していて、プリッとした食感も最高。今すぐ白いご飯があれば何杯でもいけます（正直）。

こちらで熱を一旦冷ましまして・・・

ひとつひとつ手作業です。貝殻や異物がないかを丁寧に確認、選り分けていきます。

プレス機で圧縮して出来上がり！皆さまの元に届きます。

佃煮は炊きたてのご飯、ちょっとつまんでお酒のアテにピッタリ。他にも「国産天然あさりの無添加の乾物」は炊き込みご飯、クラムチャウダー、パスタなど海の恵を存分に感じることができるアレンジメニューに最適ですよ。

効率を求めすぎない、手間暇を惜しまない気持ちを込めた商品づくり。

次は海苔の佃煮ができるまでを見学させてもらいます。まずは生の海苔を真水で洗い、余分な塩分や貝殻などの異物を落とします。

生海苔を釜に入れていきます。まだ赤っぽい色ですね。

ゆっくりゆっくり煮詰めていく作業は、混ぜる人によって味が違うほど重要な工程。効率を求めすぎない、手間ひまを惜しまない気持ちを込めた作業です。

混ぜている手の感覚から伝わってくる加減がある、と竹内さん。少しの変化を見逃さない、体に刻まれた職人の技です。

味を一定に保つため見た目や火加減は自分の感覚を信じる。

こちらは果物の甘みを計る際に見たことがあるような糖度計。

数値はもちろんだけど、それはあくまで目安。最終的には自分の目と舌を信じる、と竹内さん。

この時！と思った見極めが必要、とのこと。毎日、真摯に向き合ってきた経験とセンスがものをいう。

大きな台に流し入れて・・・

目視と手の感覚で、異物がないか選別。

分量を測りながら瓶詰め作業です。

添加物が一切入っていない、本物の海苔の佃煮ができあがりました。やった！

瓶詰めされた海苔を熱湯で殺菌処理して完成です。蓋を開けるまではおよそ1年ほど賞味期限があります。

あさり、そして海苔の佃煮の一連の製作過程を見学させていただきましたが、まずは作業場がきちんと整理されていて清潔で美しいことに驚きました。瓶詰めやプレスなどは機械ですが、他は全てひとつひとつ人の手で行われていて、隅々まで気を配っている丁寧な仕事が見てとれます。心を込めて手間を惜しまない。美味しいものにはちゃんと理由がある。佃の匠さんの商品の数々、ぜひ味わってほしいです。