リニューアルした宇城市『不知火美術館・図書館』に行ってきました!
熊本市内から車で約40分、2022年4月3日(日)宇城市にある「不知火美術館・図書館」がリニューアルしました。「オシャレなのができたらしい」「面白い企画展示があるんだって」など話題になっていたので気になってはいたのですが、宇城市出身のスタッフからの「ぜひ取り上げてほしい!」との要望から私、行ってきましたよ。
宇城市の顔として、目玉となる施設へ
九州では佐賀県武雄市にある「武雄市図書館」はご存知の方も多いのではないでしょうか。全国で図書館や公共施設を9カ所運営しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が、指定管理者として運営をしているのがリニューアルしたこちら「不知火美術館・図書館」です。
宇城市は人口約5.8万人、平成17年に旧宇土郡三角町、不知火町、下益城郡松橋町、小川町、豊野町の5町が合併して誕生しました。その背景もあってか宇城市というより元の町で語られることが多いような気がします。そこで宇城市としての目玉となる施設をつくるという思いが込められた施設です。
外観はそのままに内装だけを新しく改修
元々の建物は「くまもとアートポリス」事業の一つで1999年に開館、設計は北河原温(きたがわら あつし)氏によるものです。不知火海で見られる、海の上に幻の火が現れるという“不知火現象”をモチーフに、ルーバーが太陽の光に反射して光って見えるように作られているとのこと。今回、その外観は変えずにそのまま残し内装だけを新しくデザイン、改修されました。
不知火美術館・図書館はいつでも開いている
不知火美術館・図書館は、なんと年中無休。ということは年末年始も開いているのです。簡単に言ってしまいますが、年中無休はいろんな意味で大変なこと。しかしそこには地元に暮らす人にとっていつでも開いている場所があるという安心感や、市外や県外から戻ってきた人がここに帰って来ることができる、そんなメッセージもこめられているとお聞きしました。宇城市の方にとっての自慢の施設となり、将来的にはまちづくりへとつながる取り組みがなされているのです。
まずは入って右手の『図書館』へ
それでは図書館に行ってみましょう。入口には購入できる話題の本コーナー。どうしても話題の本は借りるまで待ちの状態になってしまう、それならば買っちゃおうという方のために。そしてスターバックス。コーヒーをいただきながらおしゃべりしたり。広々としたフロアにはイスとテーブルがたくさん設置されているので自由にくつろげます。コーヒーをお供に気軽に本を読めるようになっています。
購入したドリンクは図書館内のどこへでも持っていけますよ。
そして図書館はゲートのようになっていて生活に近いカテゴリから、より専門性の高いものへと奥に進むにつれて並べられています。気付いたのは照明と音楽。ゲートを通るとその部屋毎に明るさが違い、空気感が違って感じられます。
テーブルの配置なども工夫されていますね。窓に向かって配置されているものや、緑を取り囲むようにデザインされているものなど様々です。広くとられたスペースとベンチは開放的で自由な感じです。
一番奥の学習席エリアは、音楽がほぼ聞こえずとっても静か。集中してそれぞれの世界へ入っていけるよう考えられているんですね。Wi-Fiも電源も自由に使えるので仕事や勉強がはかどりそう。取材の日は平日でしたが、たくさんの方が思い思いに図書館を利用されていて、とてもいい雰囲気。
別館は絵本を集めた『こども絵本のいえ』
そして本館の外、こちらは熊本地震のときに交流施設として使われていた『みんなの家』を移築し活用した『こども絵本のいえ』です。約1.1万冊の絵本が並んでいます。(じゅうたん敷きの部屋ではおはなし会も開催されています)
館内の壁は熊本出身の画家・武内明子さんの絵で彩られ、ほんわか優しい気持ちになります。
授乳室もあるので気兼ねなく子どもたちと一緒に過ごせますよ。
「美術館や図書館にどんなものがあったら嬉しいか」というアンケートで1位はカフェ、2位が公園だったそうです。「こども絵本のいえ」の前には芝生広場があり、公園的なスペースとして利用できます。お昼はランチをする方で賑わっているそうです。
カラーコーンが色鉛筆。かわいい。
天気の良い日に裸足になってゴロゴロしたい。
左手『美術館』へ。リニューアルオープン第一弾の展示は『未完星[mikən-sei]』
それでは入口から左手、美術館に行ってみましょう。現在の展示はリニューアルオープン第一弾として『未完星[mikən-sei]』が開催されていました。ちょっと待てよこのテーマ、自分にとっての“完成”って何だろうと。未完「星」は、星のように輝くものかもしれないということを暗示しているのでしょうか。未完…それは蜜柑!この地域の特産品である柑橘類の意味もあるとのこと。テーマだけでもいろんなことを想像できそうです。
KOSUGE1-16(こすげいちのじゅうろく)は、生活とアートを鮮やかに結びつけるプロジェクトを各地で行なっています。遊べる体験型作品と公募型アートプロジェクトを組み合わせた展示を開催。こちらは巨大なサッカーゲーム。宇城の特産品のミカンの果樹やイノシシなどの動物たちとサッカーゲームを楽しむことができます。
動物たちと人が一緒にサッカーやっちゃう!
そして誰もが家にあるだろう作りかけのもの(未完のもの)がエピソードと共に展示されています。あるある!と共感したくなる編み物、でもエピソードはそれぞれなんですね。未完になってしまった理由、完成しないワケ、そこにはひとつひとつドラマがあります。そしてハッとさせられるような気づきも。
「未完成の状態が一番楽しい」と語るKOSUGE1-16の言葉は、未完成って悪いことじゃないんだよなって思わせてくれました。三日坊主でもいいじゃない、途中で終わってもいいじゃない、何かをスタートする原動力をもらえる気がします。みなさまも是非、自分の未完のものに思い巡らせながら展示を体験してみてはいかがでしょうか。
期間:2022年4月3日(日)〜6月4日(土)
時間:9:00〜18:00(土曜日は21:00まで開館)
会場:不知火美術館 展示室
料金:大人300円、高大生200円 ※中学生以下無料
こちらは美術館の入口にある「ミュージアムショップ」です。宇城市から100マイル圏内にあり、生活を豊かにするモノ、ストーリーがあり驚きや発見のある逸品をテーマにセレクトされています。県外から来られた方にはお土産としてもいいですね。
熊本城の鯱(しゃちほこ)をつくられた藤本鬼瓦さんの「鬼土偶」。
ステキなアクセサリーも
きっかけはなんでもいい。新しい自分と出会える場所へ。
ゴールデンウィーク中の4月30日(土)には『こども絵本のいえ』の前の芝生広場で「しらぬひパンマルシェ」が開催され、多くの方で盛り上がっていましたよ。天気も良くて皆さん買い物したり、芝生で遊んだり、楽しそうに過ごしてらっしゃいました。
テントにはパンやジャム、クラフトビールなど。キッチンカーには果樹園のスムージーが!
美術館で展示されている「サッカーゲーム」の横に、野菜や果物の絵を描こう。
統括マネージャーの瀨川さんにお聞きしたところ、まずはたくさんの方に来ていただく機会を増やしていきたいとのことで、イベントやマルシェなどを今後も計画されているとのこと。楽しみですね。本と出会う、学ぶ、アートに触れる、ただのんびりと過ごす、宇城市にはみんながいつでも集える場所、新しい自分と出会えるきっかけをくれる場所ができた、そんな印象です。私は熊本市民ですが、ちょっと足をのばしてドライブがてらにこちらの「不知火美術館・図書館」まで遊びに(学びに)来たい!そう思いました。
取材が終わってキャラメル フラペチーノをいただく。うまし。
ちなみに…
これがとても気に入っちゃいましたが、何だと思われますか。
巨大な「ダンゴムシ」が埋まってる〜!と思ったのですが…実は館の成り立ちに深く関わった方の作品なのです。作品のタイトルもちゃんとあります。エリアを探してみてください。ダンゴムシも(違うって)埋まって待ってます。
熊本県宇城市不知火町高良2352
【美術館】
TEL/0964-32-6222
開館時間/9:00〜18:00 ※土曜日のみ21:00まで開館
年中無休 ※展示室は入替日およびメンテナンス日に閉室します
【図書館】
TEL/0964-32-6211
開館時間/9:00〜21:00
年中無休
https://www.museum-library-uki.jp/