【北九州の老舗酒店が選ぶ九州の美味しい酒】ナッセ編集部スタッフが飲み比べ!
この記事に目をとめてくださったそこの酒好きのアナタ!
美味しいお酒を飲みたいな〜と思っても、ここ1年は新型コロナウイルスの影響でなかなか自由にお酒を楽しむのが難しかったですよね。
酒好きが揃うナッセ編集部でも、そういう不満の声が飛び交っていました。
あーーー美味しい酒が飲みてえ(心の声)
我慢はストレスの素!飲んじゃえばいいんです。しかも会社で(もちろん終業後)正々堂々と!美味しいお酒を!
でもただ飲むだけではつまらないもったいので、『九州の美味しい日本酒』を飲み比べてみよう!
どんな日本酒を飲み比べたらいいか、詳しいことは酒屋さんに聞いてみよう!
ということで即決したこの企画、ぜひ最後までお楽しみください。
そしてぜひぜひ、ご自身でも飲み比べしてみてくださいね!感想、お待ちしています。
ではさっそくどうぞ!
7月某日、ナッセ北九州にて日本酒飲み比べを開催!
まずは飲み比べをするナッセスタッフを紹介
左から
●常松(お酒は少々嗜む程度、どちらかと言えばカクテルなどの方が好き)
●大原(お酒全般、特にワインやクラフトビールに詳しい。酒豪と言えばこのお方)
●河﨑(ふだんは全くお酒は飲まないのに参加してくれて感謝)
●川内(ナッセの日本酒部・ワイン部を牽引、お酒の知識と酒量はすごい)
●小田川(家飲みが過ぎて21時には就寝してると思われる)
という、良い意味でとてもバランスのとれたスタッフが集まってくれました。
実は当日は、情報誌ナッセ8月号の校了日。
入稿業務が終わってホッとしたところに、日本酒の美味しさが染み渡ります。
準備が整ったところで、さっそく九州の日本酒の飲み比べスタート!
【福岡県・北九州市】倉成酒店オリジナル日本酒『山田錦純米 北九酒』
オール北九州にこだわったオリジナル日本酒
山田錦純米 北九酒
720ml 1,760円(税込)/1800ml 3,410円(税込)
コロナ禍の中、「お酒」で少しでも明るい話題を提供したい、今まで支えていただいた地元の方々に恩返しがしたい、との思いで倉成酒店の店主が企画した日本酒。
酒米は八幡西区の農家が作っている「山田錦」を使用し、溝上酒造の協力のもと皿倉山の湧き水で作った、オール北九州の日本酒です。
2020年10月12日の発売開始当初からすでに1,500本も販売されるほど大好評。
有名銘柄のお酒と変わらぬ美味しさと親しみやすいネーミングで、お土産や贈答品にも喜ばれること間違いなしです。
常温、ぬる燗でも美味しいけど、冷やで飲むのがおすすめ。ゴクッと一気に飲むのではなく、舌の上全体に行きわたるように転がして味わってみてください。やや辛口だけど甘みを感じます。
飲み比べ1本目は、その名もズバリ「北九酒」!ラベルがまた可愛いですね〜ほっこり癒されます。
北九州に来られたお客様へのお土産用に購入する会社も多いそうです。
ツイッターでは北九州市の北橋市長も「待ってました!」とコメントを出されていました。
私たちも北九州市民として、これはぜひ飲んでおきたい1本。さっそくいただきます。
しっかり ★★★★☆
フルーティ★★☆☆☆
これぞ「ザ・日本酒」というお酒。甘さや酸味のバランスがよく、スッキリと飲みやすいです。日本酒が苦手という人や、ふだんあまりお酒を飲まないという人も「美味しい」と感じるお酒ですね。料理と一緒に飲んでもいいと思います。
しっかり ★★☆☆☆
フルーティ★★☆☆☆
なめらかな飲み口で、飲んだ瞬間にお酒が口の中を通り抜けていく感じがします。スッキリして雑味や苦味がなく、芳醇な香りがいいですね。お酒が苦手な私でもスイスイ飲めます。
しっかり ★★★☆☆
フルーティ★★★☆☆
まろやかでクセがなく飲みやすい!素直に「美味しい」と思います。居酒屋で見つけたら迷わず注文しますね。今度はぬる燗で飲んでみたいです。
私も飲んでみましたが、今回飲み比べたお酒の中では一番ぐいぐい飲めた日本酒です。飲みすぎ注意!なお酒です(笑)
北九州市の新しい名産品にふさわしい日本酒だと思います。ぜひお試しください!
倉成酒店 TEL.093-617-0257
福岡県北九州市八幡西区楠橋下方3丁目2-15
創業昭和39年。蔵元との長い付き合いを感じさせる品揃えや丁寧な配送サービス、パワフルで人情味溢れる店主の人柄により、50余年にわたり長く地元で愛され続けています。
「北九酒」は純米酒と純米吟醸酒の2種類があります。「夢一献」を使った「純米吟醸 北九酒」は、華やかでフルーティな香りが特長。こちらもぜひお楽しみください。
※時期により在庫が不足する場合があるので、来店前にお問い合わせください。
【福岡県・北九州市】門司区のお米で作った「『特別純米酒 猿喰1757』
先人の偉業と地元の誇りを語り継ぐ日本酒
特別純米酒 猿喰1757
720ml 1,540円(税込)/1800ml 2,992円(税込)
北九州市門司区猿喰産のお米「吟のさと」を原料として、同市八幡東区の溝上酒造で製造された特別純米酒。
この日本酒の誕生には、後世に語り継ぎたい物語があります。
宝暦7年、飢饉に苦しむ村人を救うため、大里村の庄屋・石原宗祐氏が現在の17億円にあたる私財を投じて猿喰湾の開拓に着手。2年に及ぶ難工事の末、広さ約33ヘクタールの猿喰新田を作り、以来門司では飢饉で死者を出さなかったと伝えられています。この宗祐翁の偉業を語り継ぐために、休耕地や荒地が目立つようになった新田に酒米を植え、誕生したのが「猿喰1757」です。
1757は新田開発が始まった西暦からとりました。
フルーティで口当たりが良く、女性からの人気が高い日本酒です。冷やで飲むのがおすすめ。
2本目も北九州市のお酒になります。ちょっと地元にこだわってしまいました。
「猿喰」という地名、読めますか? 地元以外の人には難読な地名のようですが「さるはみ」と読みます。
今回の取材で初めて、「猿喰1757」の背景にある物語について知りました。
1本目の「北九酒」もそうですが、日本酒1本1本に様々な思いや由来があるんだなと改めて感じることができました。
そういう物語を知ってから飲むと、味わい方もまた変わってくるような気がしますね。
それでは飲み比べ2本目いってみましょう。
しっかり ★★★★★
フルーティ★★★☆☆
飲めば飲むほどフルーティな味わいになってきてびっくりしました。しっかり日本酒!なのに飲みやすかったです。どんな料理にも合いそう。
しっかり ★★★★☆
フルーティ★★★☆☆
2番目に好きな味です(1番目は北九酒)。飲み応えがあるけど後口はスッキリ、何杯でも飲めそうな勢いでした。女性向きということですが、男性にも受けがいいと思います。八幡東区在住なので溝上酒造さんへの思いも加点要素になっています(笑)。
しっかり ★★★★☆
フルーティ★★★★☆
私は一番好き! 雑味の少ない後口でスッキリとした切れ味、ほんのりビターな酸味も感じられるのが私好みです。口の中でフルーティな香りが漂うので杯が進みますね。綺麗に仕上がっているお酒だと思います。
北九州のお酒がこんなに美味しいなんて、“灯台下暗し”とはこのことでしょうか?
ラベルの後ろには、「猿喰」が誕生した物語が記されていますので、ぜひそちらも読んでみてください。
シマダ酒店 TEL.093-332-5133
福岡県北九州市門司区栄町6-1
2020年11月に門司区錦町から栄町銀天街に移転。「和フェス」や「ほろよい横丁」など、門司港で様々なお酒イベントを企画し、地元の活性化や地元産のお酒の販促に尽力し続けています。「猿喰」は香り高く口当たりが優しいので女性人気が高いですが、キレのよい生酒もおすすめです。ワイングラスで飲むとまた味と香りが変わってきますよ。また「猿喰」以外にも、全て「門司」にこだわって作った芋焼酎「地芋」も販売しています。ぜひおたずねください。
【福岡県・糸島市】福岡産で1本選ぶならコレ!『糸島産山田錦純米酒 田中六五』
伝統的な味わいが楽しめる精米65%の定番純米酒
糸島産山田錦純米酒 田中六五
720ml 1,705円(税込)/1800ml 3,369円(税込)
「田中六五」は白糸酒造の8代目・田中克典氏が中心となって手掛ける酒。 「田中」とは田中家の姓であると共に、「田んぼの中にある酒蔵で醸された」という意味が込められています。 そして、「六五」とは、「糸島産山田錦のみを用い、65%精米によって仕上げられた純米酒」であるということ。これには、「この土地の山田錦と伝統的なお酒造りの技術が融合した時に最も美味しくて、最も普段から飲めるお酒を表現したい」という思いが込められています。白糸酒造は全国的に見ても珍しい、木製の槽に、重しは石を使用する「はね木搾り」を行なっている蔵としても知られています。
バランスのよい「山田錦」特有の旨味をたたえつつ端正に仕上げた日本酒。しっかりと味を出す九州の酒の傾向をよく捉えており、奇をてらわず王道を行く食中酒といった味わいです。
福岡でおすすめの日本酒の上位に、常にランクインされるほど有名な「田中六五」。
限定流通商品のため、九州地方では力丸酒店と博多区の住吉酒販でしか店頭購入できません。
今回手に入れることができて本当に良かったです。力丸酒店さん、ありがとうございます!
ということで、ありがたく味わっていきましょう!
しっかり ★★★☆☆
フルーティ★☆☆☆☆
飲む前までは軽く香る程度だけど、口の中に入ったとたん芳香が強く広がっていきます。でもサッパリとした味わいで、キュッと引き締まった感じがしますね。お米の旨味がしっかり感じられる日本酒だと思います。
しっかり ★★★☆☆
フルーティ★★★☆☆
「THE・バランス!」日本酒だけで飲んでも美味しいけど、どんな料理と合わせても全く邪魔しない優秀な食中酒ですね。穏やかだけどうっすらとお米の香りがするので、ご飯も進む日本酒と言ってもいいかも。
しっかり ★★★★★
フルーティ★★★☆☆
日常的に飲みたくなるくらい飲みやすいです。ほんのり甘いんだけど、フルーティというよりは、甘酒をスッキリさせたような、お米の甘みに近いかなと。お刺身や煮物と一緒に飲んだらさらに美味しくなりそう。
料理の味を引き立ててくれるキレの良さ、サッパリとした後味、爽快な喉越し…レアなお酒なのに人気が高い理由がわかります。
購入できる機会があればぜひ手に入れていただきたい日本酒です。
力丸酒店 TEL.093-521-0146
福岡県北九州市小倉北区馬借2丁目2-6
品揃えだけでなく贈り物の提案やアドバイス、ちょっとしたお酒にまつわる話など、お客様が心から楽しめる工夫を続けている小倉の老舗酒店。内観デザインにもこだわり、店内はレトロで落ち着いた和の雰囲気を楽しめます。オススメのお酒の情報を毎日インスタやFBで配信。契約栽培『山田錦』の田植え、稲刈り、そのお米を作った酒造りまでできる酒造り体験も毎年大好評です。
「田中六五」は、万人受けしやすい日本酒で、地元にこだわって作っているから地元の料理、特にお寿司などの和食と相性が良いです。スッキリした飲み口の割に懐が深い。冷も美味しいですが、ぬる燗で飲むとまた違った味わいが楽しめるのでおすすめです。
【熊本県・玉名郡】熊本の日本酒と言えば外せない『純米大吟醸 花の香』
全量熊本県産のお米で世界的な評価を得た
純米大吟醸 花の香
720ml 1,499円(税込)/1800ml 2,999円(税込)
熊本県で1902年に創業した花の香酒造の看板銘柄。廃業寸前だった酒造を継いだ6代目の現蔵元杜氏・神田清隆氏は、焼酎メインだった蔵を見直し、小仕込みで丁寧に醸した質の高い日本酒を作る方向へ舵を切りました。酒造りに関して素人だった神田氏は、獺祭で有名な旭酒造の桜井社長のもとで修行を重ね、蔵人たちと共に蔵の改造や造りの工夫に取り組みました。そして2015年に新生「花の香」を発売。全量地元産の山田錦と昔ながらの「撥ね木搾り」で醸した純米大吟醸「花の香 桜花(おうか)」は、国内外の数々の品評会で金賞を受賞しました。山田錦を精米歩合50%まで磨いて醸した「花の香」は、澄んだ味わいと上品な香りが絶妙です。米の旨みが広がりながらも透明感があり、キレのいい後味を楽しめます。
その中で一番のオススメは?と田村本店さんにお聞きしたら、自信を持って「やっぱり花の香でしょう」とのお答えをいただきました。
4本目ともなるとそろそろ味の違いがわからなくなってくるかも?と少々不安だったんですが、これは楽しみですね。
しっかり ★★★★☆
フルーティ★★★★★
いちばん好きな味でした!フルーティでとても飲みやすいので、女性はこういう日本酒が好きだと思います。パイナップルとかグレープフルーツのような香りがいいですね。白ワインに近い感じで飲めます。食前酒にいいかも。
しっかり ★★★★☆
フルーティ★★☆☆☆
口元に運ぶとまず芳香が鼻に抜け、飲んだ後は口の中にしっかりと米の旨味が広がります。後口は少々苦味を感じました。甘みと酸味、苦味がバランスよく楽しめるお酒ですね。日本酒単体で飲んだ方がしっかり味わえそうです。
しっかり ★★☆☆☆
フルーティ★★★★★
女性が好きな香り高いお酒。多少お酒の温度が上がっても、フルーティさが残っています。爽やかな香りで、サラサラと入ってくる飲み口がいいですね。大吟醸にしては派手さがなく控えめ、上品な甘みとスッキリした切れ味が楽しめる美味しいお酒です。
やや主張が強い感じのする日本酒なので、料理によっては合わないものもあるかもしれません。
逆に言えば、料理がなくてもこれだけで十分楽しめる日本酒です。
田村本店 TEL.093-381-1496
福岡県北九州市門司区大里本町2丁目2番11号
創業大正11(1922)年。「門司区でお酒を買うなら田村本店!」と評判の酒販店。日本酒をはじめ、焼酎、梅酒類、ワインなど、800種以上の品質志向の美酒名酒を取り扱う専門店です。特に地酒の種類は豊富。ギャラリーやカフェのようなスタイリッシュな店内には、キッズコーナー、ワインセラーもあります。ギフト用のグリーティングカードや包装紙なども取り揃えているので、ギフト選びの際はぜひご利用ください。
「花の香」は火入れももちろん美味しいのですが、生酒もまたさらにフレッシュでジューシーな味わいが楽しめるので試してみてください。
【まとめ】九州の美味しい日本酒を飲み比べてみて
北九州・福岡・熊本の日本酒の飲み比べを終えて感じたのが、本当にどれも美味しくて高品質なお酒なのですが、飲む人によって好みや評価が少しずつ違うなということです。当たり前なのですが、その微妙な差が逆にお酒の個性を引き立たせているところが面白いなと思いました。
また、どのお酒にも必ず生い立ちがあって、蔵元や杜氏の思いが込められているということに改めて気づかされました。日本酒を選ぶときは、銘柄や糖度(甘口・辛口)、吟醸・大吟醸などで決めることが多いと思います。そうして選んだ日本酒を飲む際に、その背景にある物語まで知って飲むと、また違った味わい方ができるのではないでしょうか。
今回、各酒販店さんにご紹介いただいた日本酒にはどれも、ここでは書ききれなかった物語がありました。興味を持たれた方はぜひ調べていただいて、そしてぜひその日本酒を飲んで味わっていただければと思います。
九州にはまだまだたくさんの美味しいお酒があるので、この飲み比べ企画も第2弾、第3弾と続けていきたいと思います。次回は焼酎かワインになるかも?ぜひお楽しみに!