
【連載第2回】いちごに人生をかけて。清元ファーム・清元孝一さんの想いにせまる
前回は、玉名市天水という土地の魅力と、清元ファームが育てる「苺一笑(いちごいちえ)」についてご紹介しました。第2回となる今回は、清元ファームを営む清元孝一さんご本人に、いちごづくりへの想いや、これまでの歩みについてじっくりお話をうかがいました。

一番うれしいのは、お客さんの「おいしかった」の一言

「なんといっても、お客さんからの声が返ってきたときが一番嬉しいですね」と清元さん。SNSで「食べました、おいしかったです」というコメントをいただくと、これまでの苦労が報われる瞬間なのだそう。
いちごづくりは、天候というどうしようもない要素に左右されることが多い仕事。晴れの日が続けば糖度がのりますが、日照不足が続けば花が思うように育たず、収量に直結してしまう。それでも清元さんは、天候をピンポイントでチェックしながら、栽培のスケジュールを組み立てていきます。花を間引いて実のサイズを調整し、年に7回ほど花を採るタイミングを見極める。その積み重ねの先に、自分の思い描いた通りのいちごができたときの喜びがあるといいます。

「シーズンの中で、どこにこの花を、この実をはめていくか。発送する荷姿まで含めて、全部がつながっているんです」。1粒のいちごの向こうに、緻密な計算と経験が息づいていることが伝わってきます。自然を完全にコントロールすることはできなくても、その変化にどれだけ寄り添えるか。そこに、農家としての腕の見せどころがあるのかもしれません。
「継いでくれ」という、ある種の洗脳かもしれませんが

清元ファームは、もともと清元さんの祖父の代から続くみかん農家だったとのこと。そこから、いちご農家としては清元さんが2代目にあたります。「継いでくれ、とずっと言われ続けてきました。ある種、洗脳みたいなものですよね」と、笑いながら振り返ります。
決して押し付けられた人生ではなく、その言葉を受け止めながら、自分なりの形でいちごと向き合ってきた清元さん。だからこそ、自分の子どもに対しては、少し違う考え方を持っています。「もし自分の子どもが、いちごをやりたいと言うなら、ちゃんと勉強してからやってほしい。継がせるためではなく、本人がやりたいと思えることが一番大事だと思うので」。次の世代への向き合い方にも、清元さんらしい実直さを感じます。
いちご農家は、経営者でもある
清元ファームの売上の99.8%は、いちごが占めています。けれど、清元さんの仕事はいちごを育てることだけではありません。営業、財務、総務まで、経営に関わるあらゆる業務をひとりで兼務しているといいます。
実はこの経営者としての力の背景には、就農以前のキャリアがあります。飲食店のコンサルティング、IT関連の仕事、ガジェット業界、SE、半導体、そして製薬会社の営業まで。異業種を渡り歩いてきた経験が、今の農園経営にしっかりと活かされているとのこと。

「いろんな仕事をしてきたことが、今すごく役立っています」。栽培技術だけでなく、ビジネスとしていちごをどう育て、どう届けていくか。たとえば、ITやガジェット業界での経験は、栽培管理や販路開拓の仕組みづくりに。製薬会社での営業経験は、いちごという商品の価値をどう伝えるか、どう信頼関係を築くかという部分に。一見、農業とは全く違うジャンルに思える経歴の一つひとつが、清元ファームという事業の土台を支えています。「いちごを育てる」というシンプルな言葉の裏側には、これほど多面的な仕事が積み重なっているんですね。

天候に一喜一憂しながらも、お客さんの声に支えられ、多彩な経験を武器に経営と向き合う。清元さんの姿から見えてくるのは、農家という枠にとどまらない、一人の経営者としての顔。
次回は、そんな清元さんが描く今後の展開、海外輸出や新しい挑戦についてお伝えします。
清元ファーム
住所:熊本県玉名市天水町立花1666-3
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