【福岡】ワンヘルス(One Health)について
2022.1.24近年 、新型コロナウイルス感染症や新型インフルエンザなど、動物から人に感染する「人と動物の共通感染症」が流行しています。生活の中で人と動物が共に健康で生きていくためにはどうすればよいのかを改めて考えてみませんか?
掲載号:NASSE 9月号(2021年8月25日)
取材協力:福岡県庁 ワンヘルス総合推進室
『ワンヘルス』とは?
新型コロナウイルス感染症をはじめ、近年、国内外で大きな社会問題となった、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザ、エボラ出血熱、狂犬病、牛海綿状脳症(BSE)といった感染症は動物に由来し、人への感染力を獲得した「人と動物の共通感染症」です。
WHO(世界保健機関)で確認されているものだけでも200種類以上あります。
農耕や都市拡大のために森林を切り開き、野生動物を取引するなどの人間の活動によって環境や生態系の破壊が進み、人と動物の適切な距離が保てなくなったため、野生動物が保有している病原体が、直接またはノミ、蚊などを介して人や家畜、ペットなどに感染するようになったと考えられています。
このような事実は、私たちに、人と動物、そして環境の健康は、生態系の中で相互に密接につながり、強く影響し合う一つのもの=「ワンヘルス(One Health)」であると教えてくれます。
私たちは、人と動物と環境の健康を一体的に守らなければならない、これが「ワンヘルス」の理念です。
福岡県の取り組み
令和2年12月、県議会において、ワンヘルスの実践に関する条例として全国で初めてとなる「福岡県ワンヘルス推進基本条例」が議員提案により可決成立し、令和3年1月に施工しました。
福岡県ではこの条例に基づき、ワンヘルスの理念の浸透と実践のための行動計画を策定する等、具体的な取り組みを進めています。
「福岡県ワンヘルス推進基本条例」
条例の主な内容
●県や関係者の役割分担とともに、人と動物と環境の健康を一体的に守るための6つの課題について、取り組みの基本方針を定め、これを具体化するための行動計画を定める
●県にワンヘルスの中核拠点となるワンヘルスセンターを設置し、関係部局と出先機関が横断的に連携する体制を整備する
●アジア各国、九州各県の自治体、医療機関、大学等と広域的に連携して、人と動物の共通感染症対策等を総合的に先導する拠点の形成に努める
ワンヘルス実施の基本方針 6つの課題への取り組み
1.人獣共通感染症対策
各分野と連携した、人と動物の共通感染症の発生予防とまん延の防止
2.薬剤耐性菌対策
薬剤の適正使用の推進
3.環境保護
自然環境の保全と生物の棲み分けの維持
4.人と動物の共存社会づくり
動物愛護の推進と野生動物の理解と共存
5.健康づくり
自然や動物とのふれあいを通じた健康づくり
6.環境と人と動物のより良い関係づくり
健全な環境下における安全な農林水産物の生産、地産地消、食育の推進
お問い合わせ
保健医療介護総務課 ワンヘルス総合推進室
☎092-643-3622